東洋一美しい太極拳の物語
こんにちは。
東洋一美しい太極拳をやっている、田園調布の武当式|WIMA太極拳です。
先日、太極拳教室の生徒さんとお話をしていて「“東洋一美しい”って言葉、いいですねー!」って、めちゃくちゃ褒められました。
長年ウェブのマーケティングをされている方からのお褒めだけに、余計にうれしくて、もうね、心の中でガッツポーズですよ♪
ところで、なぜうちの太極拳が「東洋一美しい」のか、その理由を語りたいと思います。
目次
幻の太極拳
この「東洋一美しい」という言葉は、本当にものすごく一生懸命考えました。
うちの教室WIMAでは、武当式と呼ばれる太極拳をやっています。
武当式とは道教の聖地武当山で育まれた流派で、中国国内だけに留まらず、海外でも非常に名声が高いのが特徴です。
日本でももちろん知られてはいるのですが、ほんの一部の、しかも太極拳をされている方に限定されているので、ほとんど「幻の武当式」と呼ばれるくらいです。
まさに、知る人ぞ知る太極拳です。
一日22万円の講習会が、飛ぶように売れる
一方、欧米人には絶大な人気を誇る武当式で、毎夏欧州で行われる、本場の師匠を招いての講習会は、一日で1,500ユーロ(約22万円)とびっくりするような値段がついても、満員になってしまうほどの人気ぶりです。
そんな日本と欧米とでの武当式の著名度の差は、なぜ出来てしまったのでしょうか?
武当山は1994年にUNESCO世界遺産に認定され、2000年代に入ってから次々と海外でドキュメンタリーが制作されるようになりました。
“道教の聖山”を扱うだけに、各国の制作チームは何ヶ月も時間をかけて現地調査を行い、文化的な背景や歴史を調べあげて、四季の移ろいや道士や修行者たちの日常を撮り溜めていきます。
制作会社は武当山にカメラを持ち込むにあたり、ドキュメンタリー内容を政府に報告し、許可を取る必要がありますので、非常にまじめに真摯に取り掛かることになります。
そうやって丁寧に制作された、名作ドキュメンタリーが何本も登場しました。
それらは大人気となり、今でも何度も再放送されています。
うちの師範(フランス人アーティスト)も、実は、そのドキュメンタリーをかつて何本も見て、武当山修業に行く決意をしたひとりです。
そういった背景があって、海外から、特に欧米からの修業者が後を絶ちません。
日本ですと、たまにNHKやBS系の番組が“世界遺産”という切り口か、“中国武術”に特化した内容として放送するだけで、武当山の歴史と道教哲学、そこで暮らす道士に密着した番組は、ほとんど見たことがありません。
どうしても「観光」か「驚異の武術」コンテンツに寄ってしまうみたいですね。
そのせいか、山で暮らす道士の精神などはほとんど謎のまま、消化不良で番組は進行しています。
道教哲学の奥深さとそこで暮らす道士の日常、修業の中身などを追う欧米式のドキュメンタリー。
世界遺産の美しさ(主に建築物)やそこで育まれた中国武術の凄技に特化した日本式のドキュメンタリー。
こういった視点の差が、視聴者層の違いや、惹きつけ方の差を生み出している気がしています。
世界を魅了する流派
一日22万円の講習会が満員になったり、遠い武当山まで修業に出かけてしまう人が後を絶たない。
それほどまでに欧米人を惹きつけて止まない武当山の太極拳とは、果たしてどんなものなのでしょうか?
道教の道士は、山に籠もって様々な修業をしています。
医道を修める者、哲学を修める者、芸術(書、音楽など)を修める者、科学(天文学から占術まで)を修める者、養生法(いわゆる中国武術の類)を修める者など、多岐に渡ります。
道士達は、それらすべてを修業するのではなく、それぞれの人生テーマに合わせて科目を組み合わせます。
どの修業科目を選びとっても、必ず中心には道教の哲学が流れており、それがすべての科目を深いところで束ねているのが、道教修業の面白さであり、深みであると感じています。
また、武当山は中医学の中心地であり、薬草図鑑に出てくる6割は武当山に自生する草花です。
さらに武当山茶という銘茶の産地としても知られています。
それほど、豊かな文化自然を背景に育まれた太極拳ですから、それは魅力的でないはずがありません。
あの『三国志』で名高い諸葛孔明も、かつてこの山で修業をしていたと伝えられていますよ。
こうして「東洋一美しい太極拳」は生まれた
武当式の太極拳を見ていると、とにかく、その動きの美しさと粘りの心地よさに圧倒されます。
ある程度たくさんの太極拳を見慣れてくると、どの流派がどのような特徴なのかがだんだんと判ってくる中で、武当式の動きはまさに別格の風格があります。
山地に這うようにして重心を下にして動く、人間とも動物ともつかない、独特の流れと優雅さ、俊敏さ、力強さ。
森羅万象に溶け込むような気配の消し方には、単に技の稽古をするだけでは決して得られない、何か凄い秘密が隠されているはずだ!と、素人でも判る何かが宿っています。
武当山にも何度も行き、太極拳を散々稽古してきているわたし達は、この魅力を存分に知っていはいるのですが、果たしてそれを他の方に伝えるには、どうすれば良いのだろうか?
「道教の哲学が宿っているよ」とか「とにかくきれいなの」とか、そんな安直な言葉ではなかなか伝わりません・・・。
そんな疑問を抱えたまま、何年も歳月が過ぎて行きました。
そしてある時、この流派の美しさを表現するのにもっとも自然でしっくりとくる「東洋一美しい」という言葉に出会ったのです。
「まさにこれだ!」
武当山は「東洋哲学の雄」とも言われる「道教」の山です。
唐時代に開かれた歴史ある山で育まれてきた太極拳ですから、それに「東洋一美しい」という名称を冠するのは、とてもふさわしいように感じました。
こうして「東洋一美しい太極拳」という言葉が誕生したのです。
「東洋一美しい太極拳」の物語、最後までお読み頂き、ありがとうございました。
最後に、東洋一美しいと言われる武当式の「13式太極拳」をお楽しみください。
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