「地に足をつける」武術家

こんにちは。

東洋一美しい太極拳をやっている、田園調布の武当式｜WIMA太極拳です。

日本語で「地に足をつける」という表現は日常でも良く使いますよね。

例えば「地に足をつけて生きる」だとか「あの人は地に足が全然ついていなくて、危なっかしい。」だとか。

意味としては「落ち着いている」「安定」「着実」「堅実」「集中」などを表現する言葉ですが、「地に足がついた」感覚は、本当に実感できる身体感覚でもあるというのを知っていましたか？

そう、まるで木の根っこが地面深くにどーんと張って、どっしりと立っている状態を、人間の体も再現できるんですよ。

そうすると、心と体が落ち着いて、冷静になれるし、頭は冴えるし、才能は発揮されるし、心も安定するしで、地に足がついた状態って良いこと尽くめですよ！

ちなみに、優れた武術家は、武術の種類や流派に関係なく、みなさん共通してこの感覚をしっかりと持っています。実際に、地に足がついた状態だと無敵な強さが生まれるからです。

地に足をつけるなんて、てっきり、“言葉のあや”や諺だけの世界だと思っていた方にも、きっと目からウロコな話ですよ。

「地に足がつく」とはどういう状態？

では、身体的に地に足がつく状態とはどういうものでしょうか？

人間を木に例えてイメージしてみると、分かりやすいでしょう。

木は、地表に見えている部分は全体のほんの一部だというのは、みなさんご存知ですよね。ちょうど、このイラストのような感じです。

枝葉が大きくゆったりと広がるほどに、地中の根っこはしっかりと奥深くまで伸びています。そうすることで、全体のバランスが取れているのです。

例えば、地上に出ている部分が大きすぎて、根っこが頼りないと、バランスが悪くて木は倒れてしまいますよね。病気になって、枯れたり倒れてしまう木は、だいたいこの根の部分がやられてやせ細っていくことで、ダメになってしまうものです。

そのような事情を考えると、やはり根っこがあっての大樹なのだというのがわかります。

人間の根っこはどうやって生やす？

では、人間も大樹のようにどっしりと根を生やすにはどうすれば良いのでしょうか？

ひとつめのコツは、イメージの力を使います。

自分の足の裏から本当に根っこがにょきにょきと生えて、今立っている地面（床でも土でも、どんな地面でもOK）の下までしっかりと生えて伸びているのをイメージして立ってみましょう。

このイメージを持つだけでも、全然違いますよ。

ぜひ、裸足でも靴を履いてでも良いので試してみて下さい。ただし、女性の場合ハイヒールだとその感覚が芽生えないので、靴を脱いでやってみて下さいね。スニーカーのようなバランスの取りやすい靴だったら、大丈夫です。

ふたつめのコツは、丹田を意識することです。

丹田は基本的におへそから指3本くらい下がったところにあるのですが、ちょうど位置的に体の中心になります。着物の帯が来るあたりです。

そして、重心がそこに来ることで、どっしりと肚の座ったような感覚が生まれるのです。

重心を意識して、足元に根を生やすイメージで立ったり歩いたりするだけで、ずいぶんと、下半身の安定感が増して、見た目にもとても安定して見えますし、何よりも自然な落ち着きが出てきます。

これは自分でも分かる感覚です。そして、実感があるから周囲にも伝って「何だか、あの人は落ち着いている」という風に感じてもらえるようになります。

これがいわゆる本当に「地に足がついた」状態です。

ほらね！

早い人は数ヶ月で身につく感覚

この地に足がつく感覚ですが、太極拳をやっていると自然と身についてきます。早い人なら、数ヶ月も練習すれば身につき始めますし、半年ほどやっていれば、ほとんどの人ができるようになります。

地に足がつくと、足元がしっかりするので、体が安定している安心感から心も安定しますし、その余裕が才能開花につながっていきます。

様々な良い相乗効果が期待できますので、ぜひ、今日から地に足をつける感覚をみなさんも意識してみて下さいね。